■ 見分け方はあるの?
■ どうして今でも2ストは人気なの?
実は2ストロークのバイクには特に優れている性能があります。
それは「加速」と「運動性能」です。
この2つはバイクの大きな魅力ですよね。
なぜなら、2ストは4ストより馬力もトルクも出ますし、エンジンが小さくて軽いから運動性能が高いからです。
10年間とても楽しい2ストライフを送っていましたよ。
この記事では2ストの魅力と、4ストとの違いや見分け方を教えます。この記事を読めばどうして今でも2ストのファンがいるのかがわかりますよ。
結論は現在2ストは万人におすすめなバイクではありませんが、今でも魅力的なバイクだということです。
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2ストと4ストの違いや見分け方を解説
ここからはまず「2スト」とはどんなバイクなのかを解説していきます。
2ストのバイクとは?
「2スト」とはエンジンの仕組みの名前です。「2ストロークエンジン」もしくは「2サイクルエンジン」とも言います。略して「2スト」とか「2サイクル」と言います。
現在は「2スト」はほとんど作られていません。理由は排ガス規制です。
「2スト」は排気ガスをきれいにすることが難しいエンジンなので排ガス規制に通らないから外車の一部と競技用バイク(レーサー)の一部に生き残っているのみです。
世界中から探せば日本の公道で乗れる「新車の2ストバイク」はまだ少しだけはありますが、基本的には中古車から選ぶことになります。
2ストとはどんなエンジンなのかは文字では説明しにくいのでわかりやすい動画で紹介します。前半に4ストロークエンジンの話も出てくるのでそれぞれの違いが分かりやすい動画です。
簡単に言うとガソリンがエンジンの中で爆発してそれをピストンが受け止めて力を生む行程が1往復か2往復かの違いです。
2ストの特徴と4ストと比べたメリットデメリット
2ストエンジンの4ストと比べた特徴
■ エンジンの構造が単純
■ 燃費が悪い
■ 小排気量向け
■ 同じ排気量の4ストに比べて軽量でコンパクト
■ 同じ排気量の4ストに比べてパワーがある
■ 排気ガスが汚い
■ 燃費が悪い
順に解説していきますね。
エンジンの構造が単純
4ストロークはエンジンはピストンの上にラッパみたいな形をしたバルブが付いています。
そのバルブの上にバルブを動かす歯車とチェーンが付いています。
これで圧縮、爆発など制御しているわけですね。
ピストンのスカートの部分がバルブの役割をしていてそれで圧縮や爆発などを制御しています。なので2ストはエンジンの構造が単純でコンパクトで軽いのですね。
燃費が悪い
2ストはエンジンの仕事の工程の境目が曖昧なので効率が良い燃焼を実現しにくいのです。先ほどで説明したバルブ制御をしていないことが大きな原因です。
つまり2ストはエンジンでガソリンをきれいに燃やすという仕事を「丁寧」「確実」にするということが苦手なんですね。
4ストはアトキンソンサイクルというバルブの動きを微妙にずらして燃費の良いエンジンにするなど、細かい制御が得意。
環境に配慮しないといけない現代のバイクが4ストエンジンばかりになってしうのは仕方がないことですね。
2ストエンジンは小排気量向け
2ストは250㏄くらいまでの排気量のバイクと相性が良い。
2ストは過去に500ccや750ccとかありましたが、現在から考えるとバイクとしては4ストで作ったほうが魅力的なバイクになっていたはずです。
2ストのメリットが出やすいのは400cc以下で、それ以上大きな排気量の2ストエンジンはデメリットの方が大きくなってしまうのがその理由です。
その証拠に125~250㏄のモトクロスレーサーにはいまだに2ストロークエンジンが生き残っていますね。
軽量でコンパクト
2ストエンジンにはバルブ機構がないのでエンジンが軽く小さくコンパクトで安く作れます。
スポーツバイクには最高の条件ばかりですね。
その代わり燃費が悪かったり排気ガスが汚かったりデメリットもあります。ですがレーサーや競技車両のように用途によってはメリットの方が大きいですね。
馬力とトルクが多い(特にトルク)
2ストはピストン1往復で1回爆発、4ストはピストン2往復で1回爆発しています。
これだけ考えたら2ストは4ストの2倍パワーあるじゃん!って思いますがそううまくはいきません。
実際は1、5倍くらいのパワーですね。
実際に2ストバイクに乗った感想は「エンジンが小さくて軽くてハイパワーなので速く感じる」です。
排気ガスが汚い
2ストの排気ガスが汚い原因
■ オイルをガソリンと一緒に燃やす構造
■ 圧縮費が低いから燃焼効率が悪い
■ 排気をバルブでコントロールしていないから未燃焼ガスも排気ガスに混ざる
特にオイルをガソリンを一緒に燃やすことが一番の原因だと思います。
4ストはエンジンオイルをオイル交換するまで繰り返し使うのに対して、2ストエンジンはエンジンオイルはガソリンと混ぜて一緒に燃やします。つまり2ストのエンジンオイルは一回こっきり使い捨てで燃やして使うということです。
燃えたオイルは白い煙となって排気管から出てきます。これは構造上しかたないので、解決するとしたら排気部分の触媒で解決することのなりますがコストがかかるので現実的ではありません。
燃費が悪い
2ストエンジンはエンジンの仕事の工程があいまいなので効率の良い燃焼制御が苦手です。そのためどうしても燃費も悪くなりがちです。これは4ストより圧縮比が低いことがその大きな理由。
ちょうど4輪車のマツダのローターリーエンジンに似ている特徴ですね。
2ストと4ストの実際の性能の違いは?
↑この動画は250ccの2ストと4ストの違いを分かりやすく表してくれていますので参考にしてください。
ここからは燃費や排気ガスなど環境面の話は置いておいて、2ストと4ストそれぞれどんなところに速さや楽しさがあるかを解説します。
加速感の違い
2ストエンジンの加速感は4輪車のターボ車に似ています。
それも一昔前の「ドッカンターボ」とよばれるターボ車に。
今回はドッカンになる仕組みは省きますが最近のエコで燃費の良い4輪車のターボエンジンとは全然違います。1990年位までのターボ4輪車かノーマルからターボブースト圧を改造でアップしている車両が印象が近いですね。
でもそれ以上回すと3500ccくらいのパワーを発揮してくれるのが昔ながらのターボエンジン「通称ドッカンターボ」。 パワーは出せますが一気にパワーが出るので楽しい反面使いにくいパワーになりがちです。
回転が落ちないようにシフト操作が忙しくなりますがそこが楽しくて目強いファンがいます。
仕組みは全然違いますが乗ったときの印象はこんな感じですね。でもターボ4輪車はターボが付くと普通のターボ無しエンジンより重くなります。 2ストのバイクは同じ排気量の4ストエンジンよりも軽いのにパワーが多く出るんです。
これなら相当速く感じますよね。これが多少扱いにくくても好きな人が多い理由の一つ。
体感では4ストバイクより2ストバイクのほうが2倍とは言いませんが1,7倍くらいは速く感じますね。
↑雰囲気がわかりやすい動画です。でも公道であまり飛ばすのは駄目ですよ。
飛ばしたければサーキットで楽しんでくださいね。
運動性能の違い
個人的には加速よりも運動性能が高いことが2ストの大きなメリットだと思います。
エンジンが小さく軽いってことはバイクにはとても大きいのです。エンジンはバイクで一番重いパーツです。なので加速、減速、コーナリング、ジャンプ、着地など全ての運動性能がアップするってことです。
私としてはパワーが増えなくても運動性能が増えるってだけで2ストを選んでもいいってくらいです。
デメリットがあってもメリットが大きいから競技用のレーサーなど一部ではまだ2ストが生き残っているのです。
↑特にジムカーナなどではメリットが良く出ます。バイクの動きが軽快な所に注目してください。
最高速はそこまでの差はない
最高速は馬力でほぼ決まります。
2ストはパワーが出ますが、超高回転エンジンにするのは苦手です。ピストンを薄く小さくすることが出来ないからです。
4ストはエンジンの回転を上げて馬力を出すのは得意なので、同じ排気量なら2ストのほうが馬力は出ますが4ストとの性能差は他の部分より少なめです。
トルク値は2ストがかなり優れていても馬力はそれほどの差はないのです。
どんなバイクと相性が良いのか
2ストはスポーツエンジンにするとメリットが生きてきます。
半面クルーザーのようなアメリカンやSR400のようなクラシックなバイクには向きません。「パイーーーーン」って加速しているアメリカンなんて人気出るはずがありませんよね。
2ストはロードレーサーやモトクロスや小さめのスクーターに向いているエンジンです。
4ストはエンジンの味付けの幅が広いです。ハーレー、スクーター、カブ、などオールマイティに使えます。
排気量を大きくしたり気筒数を変えたりすると、色々な個性なエンジンを作れるのが4ストの大きなメリットです。
最近はオンロードレーサー、モトクロスも4ストも進化しているので以前ほど2ストとの差は少なくなってきていますね。
2ストと4ストの見分け方を5つのポイントで解説
自分のバイクが実は2ストだったとか、これからスクーターを中古で買うけど2ストと4ストの区別がつかないという人は多いと思います。ここからは見分け方を解説していきますね。
2stオイルを入れる場所の有無
4ストの水冷エンジンの場合冷却水を入れるタンクがあるのでそれと間違えないように気を付けてください。
タンクの中身にオイル(トロトロしている)が入っていれば2ストエンジンで、中身が冷却水(色がビンク、ミドリなどキレイでチャプチャプしてる)なら4ストです。 オイルタンクの場所がわかりにくかったりする場合はメーターを見るとOILと書いたランプがあるバイクがあります。その場合は2ストです。オイルフィラーキャップの場所
オイルフィラーキャップ
エンジンオイルの色が違う
2ストのオイルは「青」「薄い緑」などカラフルです。
それに対して4ストオイルは「茶色」一色なので区別することは簡単です。
エンジンの形が違う
2ストと4ストはエンジンの頭の部分の形が違います。
エンジンヘッドが低く小さいのが2スト↓
カムカバーがあるなら4スト↓
排気管で見分ける
排気管マフラーを見て黒いオイルがどろりとしていたら2ストです。
4ストでは黒いすす(カーボン)が付いていますがオイルはついていません
もし4ストエンジンなのに指にオイルがべっとりつついていたらエンジンが「オイル上がり」っていう故障してます。
(1970年代とかまで古い2ストエンジンだとチャンバーではないのでこの限りではありません)
排気管の真ん中がテーパー状に膨らんでいたら2ストです↓
4ストはふくらみがありませんが最近の4ストバイクは排ガス浄化のために四角く膨らんだ部分があります。(通称弁当箱)チャンバーとは膨らみ方が違うのでわかると思います↓
エンジンの音が違う
4ストロークは気筒数などによって音がかなり違いますが、2ストロークは気筒数が変わってもほぼ同じ音です。
音の違いは動画がわかりやすいと思うので↓を参考にしてください。
2ストロークバイクの魅力とは
2ストのバイクは一度乗ると、何て楽しいバイクなんだ!って思います。
バイク経験がある人ほど間違いなく感じるはずです。
筆者が初めて体験した2ストは1988年式NSR250R
それもそのはず初めて乗った2ストバイクは1988年式NSR250でした。
これは市販車で後にも先にも最速といわれている伝説のバイクです。
筆者が体験した88年式NSR250Rの状態
■ 走行距離1000kmくらいっていう最高のコンディション
■ フルノーマルっていう最高の状態
■ サーキットで借りるっている最高のシチュエーション
その頃の筆者はスズキのSV400sっていうVツインエンジンのスポーツバイクでサーキットに通っていました。そこで友人のNSR250を借りて乗せてもらったんですね。
SV400sがとてもトルクのあるエンジンだったのでなおさらなんですがNSR250Rは「最初全然パワーないな。遅ーーーーーい」って思ってました。低回転でアクセルをガバっと開けても2ストは加速しないんですよね。 そのまま回転が上がって「パワーバンド」に入ったときにいきなりパワーがどかーーんってでで、さお立ちにウィリーしました(笑)「何だこりゃー。回転上げると急にパワー出るのかー」って感じました。
パワーバンドを維持できるとレスポンス良いしパワーすごいあるし、バイクは軽いしすいすい曲がって「こりゃあ楽しいー。最高だー」って思いました。
4ストしか乗ったことが無い人が2ストに乗ると感じること
■ バイクが小さく軽い車体に感じる
■ エンジンはちょっと扱いにくいけど慣れたら速くてレスポンスが良い
■ エンブレが少なくてコーナーに突っ込み過ぎてしまうのになぜか曲がれる
これじゃあ楽しいに決まってます。
エンジン回転の維持にコツがいりますし、エンジンブレーキがほとんどないので4ストから乗り換えると戸惑いますが慣れの問題です。
今から2ストを体験してみてといってもなかなかそんな機会はないでしょう。でもチャンスがあったらぜひぜひ一度体験してみてほしいです。
まとめ
いまから2ストのバイクを購入するのは正直、初心者の方には少しハードルが高いかもしれません。
2ストは中古しかないのと人気で価格が高騰しているので良い車体を見つけるのが厳しくなってきています。
10年間2ストを所有してみて分かりましたが、2ストは壊れやすいエンジンではありません。
2ストは「メンテナンスをしなかった場合」4ストより少し消耗が早いエンジンだということです。
オイルを一緒に燃やすエンジンなのでいろんなところが汚れます。エンジンの中、チャンバーの中などオイルがたまっていきます。それを掃除しないと性能が落ちてきますので、そういう意味では4ストよりも2ストは手がかかります
でも手を掛けたときに4ストよりも「良くなったなー」って体感できるのが2ストです。
プラグやピストンを新品に変えると4ストよりも性能アップを体感できますよ。
今からでもメンテナンスを勉強して大事に手をかけて乗るなら多少価格が高くても「ノーマルに近い車体」なら2ストはありだと思います。
ただ、人気車種は純正パーツが欠品しているものがあるので自分で調べるか、詳しいショップの付き合う必要があると思います。
でもこのあと2ストの状態が良くなることはないでしょう。つまり「今この瞬間が一番2ストの状態が良い」ってことです。
興味ある人は速めに行動してみてくださいね。
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