2スト3気筒とか2スト4気筒とかのバイクの事を知りたくありませんか。
「4気筒って4ストでしょ」
「3気筒って最近のMT-09とかでしょ」
って声が聞こえそうですね。
今回の記事はすでに無くなってしまった2ストのさらにマニアックなお話で3気筒や4気筒の2ストバイクの話です。
この記事を読めば、、、
■ 今までに市販された3気筒とか4気筒のバイクの事がわかる
■ ちょっと凶器に満ちた2スト大型バイクの事がわかる
バイクの画像や2ストバイクのエンジン音も聞けますよ。
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2ストの3気筒とか4気筒のエンジンってどんなバイクがあったの?
2ストといえば単気筒か2気筒が普通です。
50〜125ccのバイクは単気筒で250ccなら単気筒と2気筒が両方あります。
でも普通それくらいで3気筒とか4気筒とかは聞きませんね。
すでに排ガス規制で2ストエンジンの歴史はほぼ終わってしまっています。
でも過去には3気筒とか4気筒のモンスター2ストエンジンも市販されていたのです。
今回の記事ではそんな伝説になっている3気筒と4気筒の2ストのお話をしようと思います。
バイク車種の紹介はメーカーを特に分けないで古い順に紹介します。
車種ごとに参考になりそうな動画も紹介します。
音とか白煙とかは目で見たほうが良いですから。
特に2ストのサウンドを堪能してください。
カワサキ 500SSマッハIII
■ 発売年度 1969年
■ エンジン 498.7 cm3
■ KAE 型(空冷2ストロークピストンバルブ並列3気筒)
■ 内径×行程 / 圧縮比 60 mm × 58.8 mm / 6.8:1
■ 最高出力 60ps / 7,500rpm
■ 最大トルク 5.85kg-m / 7,000rpm
■ 乾燥重量 174 kg
■ 全長×全幅×全高 2,095 mm × 840 mm × 1,080 mm
解説
カワサキは当時A7という2スト2気筒で350ccのバイクをアメリカ市場に投入していました。
でも現地から「パワーが足りない」「もっと排気量を」などの意見を受けて1968年にマッハシリーズが誕生。
マッハシリーズは750.500.350.250とシリーズ化されてすべて空冷3気筒という珍しいバイク。
形もまだ当時は「チャンバー」の形が4ストと大差ない。
つまり真ん中を膨らませて、脈動効果を使って2ストエンジンをコントロールする発想が無い時代のバイクです。
90年代に入ってからの2ストとはかなり性能が違います。
下に動画がありますが排気の白煙の濃さに注目してください。
マッハシリーズといえば、「やべー加速」のイメージが付くほど速く、フロントがすぐ上がると話題に。
このあと「KHシリーズ」として名前を変えていきますが長く愛されるバイクになりました。
マッハ500が出た1969年と同じ年にホンダから初めての市販4気筒CB750FORが発売されます。
すべてが初めてディスクブレーキも初めてなど素晴らしい歴史に残るバイクでしたが重さが乾燥重量で218kg。
500SSマッハⅢはそれより40kg以上軽いので加速感は全く違っていたでしょうね。
伝説のバイクになったのも納得です。
スズキ GT750
■ 発売開始年 1971年
■ エンジン 水冷2スト・ピストンバルブ並列3気筒
■ 最高出力 67ps(49.0 kw)/6500rpm
■ 最大トルク 7.7kg・m(75.5N・m)/5500rpm
■ 車体重量(乾燥) 214kg
■ 排気量 738cc
解説
1971年のこの当時、大きなバイクはアメリカ市場で売るための物と相場が決まっていました。
大型バイクが少なかったスズキが当時フラッグシップとして開発したバイクがGT750。
何とびっくり水冷2スト3気筒で750ccクラスというモンスター2スト。
あだ名は「ウォーターバッファロー」(水牛)のニックネームで呼ばれた。
ニックネームが時代を感じますよね。
ライバルはホンダCB750FOUR、カワサキ750SSマッハ。
このあとGS750(4ストのバイク)にバトンタッチするまでスズキの看板をしょって立っていたバイク。
カワサキ 750SSマッハIV
■ 発売年 1971年
■ エンジン H2E型 748.2 cm3 2ストローク
■ 空冷ピストンバルブ並列3気筒
■ 内径×行程 / 圧縮比 71 mm × 63 mm / 7.0:1
■ 最高出力 74 ps / 6,800
■ 最大トルク 7.9 kg-m / 6,500 rpm
■ 乾燥重量 192 kg
■ 全長×全幅×全高 2,080 mm × 850 mm × 1,145 mm
■ ホイールベース 1,410 mm
解説
500SSマッハはアメリカ市場で好評でした。
ですが1969年にホンダからCB750が発売されたことで500SSはパワー面では互角でも価格面では負けていいました。
もっと大きな4ストバイクのフラッグシップを開発しないとカワサキの威厳が守れません。
カワサキは4ストの750も開発していたがCBに先を越されたため900㏄での開発に変更。
でも今すぐに売れるハイパワーバイクがないってことで500マッハをボアアップして750ccにして発売。
1.5倍も排気量アップできるって当時は設計がおおらかな時代ですね。
この後、カワサキの伝説のバイク「Z1」が出るまでカワサキのトップ役が750SSでした。
ホンダのCBは「CB750FOUR」
カワサキは「スーパー」がついているところに意地を感じます。
時代の雰囲気をすごい表してますね。
スズキ GT380
■ 1972年に発売
■ 仕向け・仕様 国内向けモデル
■ ホイールベース (mm) 1380
■ 最低地上高(mm) 145
■ 車両重量 (kg) 183
■ 2スト・吸気形式 ピストンリードバルブ
■ 内径(シリンダーボア)(mm) 54
■ 行程(ピストンストローク)(mm) 54
■ 圧縮比(:1) 7.2
■ 最高出力(PS) 38
■ 最高出力回転数(rpm) 7500
■ 最大トルク(kgf・m) 3.8
■ 最大トルク回転数(rpm) 6500
解説
スズキがミドル以下の排気量のバイク(カワサキのマッハやKHシリーズなど)に対抗するためのバイク。
マッハシリーズよりも低速で乗りやすい味付け。
エンジンヘッドが特徴的で現代も長く愛されているようで筆者もたまーにですがまだ見かけますよ。
旧車の2ストとしては一番球数があるバイクだと思います。
ホンダ MVX250F
■ 製造期間 1983年
■ エンジン MC09E型 249 cm3 2ストローク
■ 水冷90°バンクV型3気筒ピストンリードバルブ
■ 内径×行程 / 圧縮比 47 mm × 48 mm / 8:1
■ 最高出力 40 PS / 9,000 rpm
■ 最大トルク 3.2 kg-m / 8,500 rpm
■ 乾燥重量 138 kg
■ 車両重量 155 kg
■ 全長×全幅×全高 2,010 mm × 735 mm × 1,155 mm
■ ホイールベース 1,370 mm
解説
すでに大人気となっていたヤマハRZ250の対抗馬として開発。
ホンダは4ストでVT250Fを発売済みで好評だったのですがGPレーサーのNSR500のイメージを背負う市販車がなかったことから同じV3の2ストで開発。
しかし、4ストっぽい特性が受け入れられずこの後ホンダの2スト開発はNSR250へとバリバリの2ストレーサーの方向へと舵を切ります。
なのでこのMVX250Fはあっという間にいらない子になってしまうという不遇のバイク。
なんと3気筒のバイクなのに4気筒目のチャンバーが「オプション」で買えるんです。
「え、何それ」って思いますよね。
エンジンが3気筒なのにチャンバーが4本あってどうするの?って思いますよね。
それは「小物入れなんです」。
しかも缶コーヒーくらいしか入らない小物入れ。
本当なんですよ。
これをメーカーが純正オプションで用意するって遊び心がある時代ですよね。
ヤマハ・RZV500R
■ 1984年4月より販売
■ 車体型式 前期型:51X 後期型:1GG
■ エンジン 51X型 499 cm3
■ 水冷2ストロークピストン/クランクケースリードバルブV型4気筒
■ 内径×行程 / 圧縮比 56.4 mm × 50 mm / __
■ 最高出力 64PS/8,500rpm
■ 最大トルク 5.7kgfm/7,500rpm
■ 車両重量 194 kg
■ 全長×全幅×全高 2085 mm × 685 mm × 1145 mm
■ ホイールベース 1375 mm
解説
当時のGP500レーサーYZR500(0W61)」のレプリカモデルとして1984年よりヨーロッパ市場で発売。
素晴らしい性能との評判だが当時の大型免許は敷居が高く、販売台数は振るわず。
ライバルのホンダはNS400で400cc。
スズキのRG500 はRG400も併売するなど、400ccの販売をカバーしていたためヤマハだけ、大型免許を持っている人しか客層がいなかった。
しかも当時の価格で80万以上と相当に高価だった事もあって今も希少なバイク。
純正のチャンバーがえぐい形をしていますね。
当時の開発の苦労が伝わってくる取り回しです。
ホンダ NS400R
■ 1985年発売
■ エンジン 90°バンクV型3気筒
■ 内径×行程 / 圧縮比 57 mm × 50.6 mm / 6.7:1
■ 最高出力 59 PS / 8,500 rpm
■ 最大トルク 5.1 kg-m/ 8,000 rpm
■ 車両重量 183kg
解説
市販直前に販売中止となったMVX400Fをベースに開発するが、一度すべて白紙にして最初から全面的に設計を見直して開発。
NS500に用いられた最新技術の数々を投入して開発されたモデルで全方位に高性能。
500ccのモデルは開発しないでこの400一本で販売っていう潔さがすばらしい。
スズキ RG500
■ 発売 1986年
■ 全長 (mm)・全幅 (mm)・全高 (mm) 2100・695・1185
■ ホイールベース (mm) 1425
■ 車両重量 (kg) 182
■ 内径(シリンダーボア)(mm) 56
■ 行程(ピストンストローク)(mm) 50.6
■ 圧縮比(:1) 7
■ 最高出力(PS) 64
■ 最高出力回転数(rpm) 8500
■ 最大トルク(kgf・m) 5.8
■ 最大トルク回転数(rpm) 7500
解説
スズキのGP500のレーサーRG500の直系バイク。
エンジンレイアウトはGPレーサーと同じくスクエアフォーで開発され、さらに400ccと併売されました。
500ccを「ゴガン」、400ccを「ヨンガン」と呼びます。
ホンダ、ヤマハと違って本当にGPマシンのレプリカといえるのはスズキだけといっても良いほどの作りこみ。
実際ライバルの中で一番販売台数が多いのも特徴。
スズキがついついやりすぎてしまうってメーカーイメージはこのバイクでついたんだと思います。
このバイクは本当にGPマシンのようですよ。
番外編 カワサキ SQUARE-FOUR 750
解説
開発コード「0280」はタルタルステーキという名前の開発中で打ち切りになったバイク。
今からは信じられませんが名車「Z1]のかわりに2ストスクエア4エンジンのカワサキバイクが発売されていたかもしれないのです。
排ガス規制の関係で開発のみで結局発売はされませんでした。
Z1も4ストの4気筒900ccで発売されました。
もし発売されていたらカワサキのイメージは今と全然違っていたでしょうね。
まとめ
今日紹介したバイクたちは今からスペックを見れば全然大したことがないので、「なんでおじさんたちはこんな古いバイクをもてはやすのか」って若い人は思うでしょうね。
メーカーたちが子供の喧嘩みたいに争ってバイクを作ってしのぎ合っていた雰囲気はなかなか文章では伝えられません。
現代はマーケティングが進化しすぎていて、「あれー、なんでこんなバイク作っちゃったの?」「こんなバイク誰か買うのかな」「これ、露骨にメーカー〇〇のパクリ」だね」
このような露骨なメーカーのぶつかり合いはありませんね。
ある意味一台一台しっかり作られているので「何だこりゃ」的なバイクは全く出てきません。
そんな時代に大型バイクで「作ってやれー」みたいな勢いがあるバイクたちを今回紹介できたと思います。
他にも2ストに関係した記事があるのでもしよかったら読んでみてくださいね。
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最後まで読んで頂いてありがとうございました。
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