■ 2ストのバイクはいつまで乗れるの?
■ 2ストと4ストどっちのほうが寿命が長い?
■ 2ストって今から乗っても維持できるの?
これから2ストを買おうとしている人はこんな不安が付きませんよね。
実はメンテナンスをしていれば2ストと4ストの寿命はそれほど変わりません。エンジン関係だけは2ストの方が少し消耗が早いというくらいです。
私が乗っていたNSR80(1990年式)は44000kmで売るまで故障なしでした。
この記事では2ストがなくなりそうな原因と2ストの寿命を延ばす具体的な方法を教えます。この記事を読むと2ストバイクを購入した後の不安を解消できますよ。
結論は「2ストバイクは4ストよりメンテナンスでやるべき事が4ストより多いけど寿命にはそこまでの差はない」です。
全くお金をかけないで調子が良い2ストバイクを維持することは難しいですが、やるべきことをやれば楽しい2ストライフを送れますよ。
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2ストバイクが乗れなくなるのは寿命なのか
2ストロークのイメージ
■ 壊れそう
■ メンテナンスできないと維持が大変
■ 維持にお金がかかりそう
2ストにはこんなイメージがありませんか
イメージが付いた原因はいろいろありますが主なものとして
■ 4ストロークと比べてメンテナンス不足には弱い
■ 4ストロークよりカスタムの影響が大きい(良い面も悪い面も)
■ 排ガス規制で中古のバイクしかないので値段が高騰
■ エンジン内部やチャンバーの中にオイルがたまってメンテナンスしないといけない構造
■ 4ストロークよりエンジン内で2倍の回数で爆発が起きているから走行距離のわりにエンジンがくたびれる
■ オイル潤滑がミスト状のオイルでの潤滑なのでクランク軸など大事な部分の潤滑が4ストより脆弱
では今後2ストのバイクに乗れなくなるのか。→結論は大丈夫です。
ここから乗れなくなりそうな原因を一つ一つ解説していきますね。
規制で新車販売は出来なくなったが中古は大丈夫
すでに販売されて公道を走っている2ストバイクが「今日からもう乗ってはいけません」と急になることはほぼ考えられません。
根拠は1920年式などのクラシックカーが普通にナンバーを取得して公道を走れることから分かるように排ガスや騒音の対応ができていなくてもすでに販売されている車両に「乗るな」といわれる事例は過去にもほぼありません。
筆者が考える東京都がディーゼル規制を実施した理由
■ 排気量が大きい
■ 台数が多い
■ 違法な格安燃料(安いが排気ガスがさらに汚い)を使う運送会社が多かった
クラシックカーや2ストバイクは数が少なく時間がたてばどんどん車両が古くなって勝手に絶滅していくので、わざわざ手間を掛けて法律を作って規制するまでもないといったところでしょう。
古い車両で元々シートベルトが付いていない車両は、シートベルトをつけないで運転していても違反にはならないのと同じです。
でもいつか税金が多めに課せられるなどの可能性はゼロとは言い切れないですけどね。
少し余談ですが、悪いイメージが付いたディーゼルエンジンですが今はクリーンディーゼルとしてむしろエコなエンジンのイメージになっていますね。
2ストもディーゼルみたいに新車で復活しないの?って思いたいところですが、正直私はあり得ないと思っています。
2ストが復活することは考えにくい理由
■ ディーゼルエンジンはもともと圧縮比が高く効率の良いエンジン
■ 環境に悪い原因は黒いすすが多く出ること
■ 黒いすすを何とかできるのならガソリンエンジンよりエコになる可能性は古くから知られていたからメーカーがお金をかけて対策した。その結果が現在のディーゼルのイメージ
■ 2ストは圧縮費が低くもともとエコにはなりにくいエンジン
■ しかもオイルをガソリンと一緒に燃やす構造で排気ガスがきたない
■ 現代の技術でお金を掛ければ排ガス規制を通すことは可能だが車両価格が大幅アップで元が取れない
2ストは何とか復活してほしいんですけど現実的には難しそうですね。
パーツが無くなる心配はお金さえかければほぼ解決できる
古いバイクに乗る人は皆同じく抱える悩みです。2ストに限った話ではありません。
古い車両を維持するとはそういうことだと割り切って大事に乗っていくしかありませんね。
2ストでなくなったら特に困るパーツ
■ シリンダー
■ ピストン
■ ピストンリング
この辺はメーカーに在庫があっても割高価格になっていますしオークションなどでは値段が高騰していきますね。
ただ、程度の良い中古パーツを探すなど方法はありますしある意味「お金で解決できること」です。
2ストを維持するってことはある程度の出費は覚悟しましょうってことです。
2ストのエンジンは4ストより寿命が短い?
2ストのエンジンは4ストよりはエンジンの消耗が早いことは事実です。
原因は「オイル潤滑がミストオイルだから」と「4ストの2倍爆発している」こと。
4ストエンジンはエンジンの下の方にエンジンオイルがじゃぶじゃぶにたまっていてそれをエンジン中に廻らせて潤滑しています。
2ストはオイルをミスト状にしてガソリンの混ぜてエンジンの中身を潤滑しています。
オイルに浸かっているベアリングとオイルを霧吹きで拭きかけているベアリングはどっちが長持ちするかは明白ですよね。
他にも構造上でオイルがたまってしまう場所があるのでそれを取り除くメンテナンスをしないとエンジンの性能が落ちます。
オイルがたまりやすい場所とその悪影響
■ チャンバーの中にオイルのカスがたまると脈動効果が弱まる
■ エンジンの腰下にオイルカスがたまると1次圧縮が設計時と変わってしまう
■ 二つの原因でエンジン性能が落ちる
そのかわりエンジンの構造が単純なので1回のメンテナンス費用は4ストより安く済みます。ですが4ストより頻繁にメンテナンスが必要です。
メンテナンスをしないでほったらかしで乗ったまま性能が落ちていっても動いていれば気にしない。そんな人には4ストは長持ちで2ストはすぐ壊れると感じるでしょう。
2ストも4ストもそれぞれ適切なメンテナンスをしていれば2ストは4ストに少し劣るくらいの耐久性だと言えます。
言い換えれば、2ストは4ストよりメンテサイクルが短いと言えます。壊れやすいのとは意味が違います。
2ストオイルの販売はまだまだ大丈夫
大きいホームセンターのオイル売り場に行けば安心するでしょう。まだまだ2ストオイルはたくさん売られているからです。
しかもヤハマ純正2ストオイルなんて2ストブームが完全に終わった後にモデルチェンジしてFD規格というさらに環境にやさしいオイルを発売するくらいです。
まだまだオイルの供給面は心配ありません。
2ストバイクの寿命を延ばす具体的な方法を解説
ここからは実際に2ストバイクを所有したとしたらどんなところに注意したらよいかを具体的に解説します。
たまにはエンジンを回す
2ストバイクはオイルがエンジンの腰下とチェンバーの中にたまってしまう構造です。
なのでわざとエンジンを高回転で回して未燃焼オイルを燃やして外に出すのです。
たまには高速に乗ってギアをわざと低めにしてエンジンを回すとそのあと明らかに調子が良くなりますよ。
3分間だけアクセルを大きく開けっぱなしにして走るだけでそのあとのエンジンの印象がかなり変わります。
その時後ろのスモーク炊いたみたいに白い煙がもくもくですので誰もいないときにやってくださいね。本当にびっくりするくらいモクモク出ますよ。
頻繁に乗る
これは2スト4スト関係なく同じですね。
車でもバイクでも頻繁に乗って車両を動かす事でエンジンと車両の可動部にオイルやグリスがなじむので性能の低下を防げます。
純正に近い状態にする
これも2スト4スト同じですが特に2ストのほうが大事だと思います。
理由は2ストのほうがカスタムの影響を大きく受けるから。
2ストはチャンバー(2ストの排気管)を変えただけでかなり速くなったと体感できます。
4ストのマフラー替えただけでは音はかなり変わっても加速感はそこまで変わりません。フルエキで交換してもチャンバー変えた時よりは変化が小さめです。
ここが2ストの面白い所ですが、大きく変わるということは大きく調整しないと純正状態から大きくずれるということ。
その辺を対応しないままで乗り続けると4ストより2ストのほうが壊れるという事例が多いのが「2ストは壊れやすい」というイメージが付いた一番大きな原因だと思います。
純正状態でしっかりメンテナンスをすれば2ストだってなかなか壊れません。
私のNSR80は44000km走行でも全く問題なく走ってくれてましたよ。
エンジンやチャンバーなど必要な部分をオーバーホールする
これが一番効果が高い方法ですが一番費用がかかる方法でもあります。
2ストならではの部分といえばチャンバーとエンジン。これらには2ストの構造上どうしてもオイルの残りかすがこびりついてしまってエンジンの性能を低下させていきます。
エンジン性能が低下するだけならよいのですが、エンジン腰下にオイルカスがたまると1次圧縮が上がってしまって(エンジンの燃焼温度が上がりすぎる)最悪エンジンを壊すことにもなりかねません。
何を目安にオーバーホールを検討すればよいのかという問題は使用状況でかなり変わるので一概には言えませんがあくまで目安として紹介します。
2ストエンジンのオーバーホールの時期と費用の目安
エンジンのオーバーホールが一番お金がかかりますが長く乗るならいつかはやらないといけません。
費用はどこまでやるかで値段がかなり変わります。
NSR250Rのエンジンをオーバーホールする場合の費用の目安
パーツを出来るだけ再利用して必要なパーツだけ交換で約14万
エンジン内をフルオーバーホールで約37万
メニューによってかなり費用に差が出ます。もちろんお店によっても値段がばらつきがあります。
オーバーホール時期の目安は20000kmに一度と言いたいところですが値段が高いので30000kmくらい乗ってから検討すればよいと思います。
2ストチャンバーのオーバーホールの時期と費用の目安
純正チャンバーは分解できないので基本的にはオーバーホールは出来ません。社外チャンバーだと仮定するとカーボン落としをバイク屋に依頼すると1,5~2万円が目安です。
走行距離1万キロごとにチャンバー内を掃除できると快適に走行できますよ。
自分でチャンバー内のオイルを落とす方法
昔のやり方はこんな感じでした。ドラム缶の中で焚火をしてその中に外したチャンバーを入れてガンガン燃やします。火が消えて冷えた後にチャンバーをさかさまにして叩くと粉になったオイルが出てきます。
この方法は「焚火をガンガンするような場所なんてない」「チャンバーの外側の塗装は完全に取れてしまうので自分で再塗装する必要がある」あまりお勧めできません。
オススメできる方法をしては、ホームエンターで売っている洗面台の排水溝のつまりを掃除するパイプユニッシュをいう洗剤を使う方法があります。
筆者はこの方法をNSR80の純正チャンバーに3回ほどやってみました。
新品チャンバー性能を100点だと仮定します。
20000km走るとチャンバーの性能は50点に低下しているのでパイプユニッシュを使うと75点くらいには戻るイメージです。
その代わりサイレンサーの中のグラスウールを溶かしてしまうので排気音が少し大きくなってしまいます。距離が延びるとどちらにしろ消音性能も落ちてくるのであきらめるしかない部分です。
■ チャンバーをバイクから外す
■ チャンバーの排気出口に栓をする(細めのお風呂の湯船の栓がおすすめ)
■ チャンバー内にパイプユニッシュを入れる(1つのチャンバーにつきボトル2本くらい)
■ チャンバーのエンジン側の穴をふさぐ(太めのお風呂の湯船の栓がおすすめ)
■ チャンバーを10回くらい振る
■ 1日放置
■ チャンバーの栓を両方とも開けて水道のホースを差し込んで水で洗い流して出てくる黒い水が透明になったら完成
■ 出来るだけ中身の水を出したらバイクに取り付けるその後の注意点
数日以内に一度エンジンをかけてエンジンを回してチャンバーの中身に残った水を完全に取り除くと同時に排気に混ざったオイルをチャンバー内に巡らせてチャンバー内のさびを防止する
今から2ストに乗るのってオススメできるの?
2ストに興味がある人に伝えたいことは「現在が2ストが一番良い状態で買えるとき」だということ。
煽り文句のようになってしまって申し訳ないですが本当にそうだと思います。
これから2ストが新車でバンバン売られ始める可能性は限りなく低いでしょう。
今から現在新車で買えそうな2ストバイクは「古い設計のアジアで販売されている2スト」と「最新の設計だけど100万以上する高価な外車(ナンバー取得可能なオフレーサーなど)」の2択です。
基本的には中古で国産の中から探すことになると思います。状態の良い車両を探すと50万とか100万とかざらです。しかもこの状況が今より良くなるということはないでしょう。
今より中古バイクは傷んでいくし、パーツもなくなっていきます。中古の価格もさらに高騰していくでしょう。
興味ある人には「今からでも乗る価値ある」と伝えたい
70万でCBR1000RRが中古で買えるのに、メンテナンスしても新車の時の8割の性能しかない中古の古いバイクを買うの?って普通は考えますよね。
「それでも乗ってみたい」って思う人に向けてこの記事を書いています。
私は10年間NSR80を維持しました。44000kmくらいまで乗りましたが大きな故障はありませんでした。
2ストは中型より小さいバイクと相性が良いです。なのでとても2ストライフを送れた楽しい10年間でした。
バイクの性能は新しい大型バイクのほうが間違いなく良いです。「同じお金を出すならもっと新しいバイクを買えばいいんじゃないか?」友人に相談したら言われそうですよね。
でも性能の良さ=楽しさなのでしょうか?
多少は苦労すると思いますがそれも含めて楽しいって思えるはずです。
他にも2ストに関係した記事があるのでもしよかったら読んでみてくださいね。
»おすすめの2スト250ccのバイクの選び方[具体的な車種で紹介]
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最後まで読んで頂いてありがとうございました。
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