「バイクのタイヤは見かけでしょ?」
「太くてパターンがかっこよければOK」
「グリップ力は高ければ高いほど良い」
なんて思っていませんか?
実は、タイヤ交換は多くの変化があります。[ハンドリング][燃費][ライフ]などが変化します。
なぜなら、タイヤにはそれぞれ狙っている性能があるからです。
私はバイク歴21年でバイクは87車種経験があります。
今まで掛けたバイク費用は、タイヤ代に一番お金をつぎ込みました。同じタイヤを何回も履いたり、同じバイクで違うタイヤを複数試したりとタイヤの経験も豊富です。
この記事では、ポイントを抑えたタイヤ選びのための知識を教えます。
この記事を読むと、運任せではない自分の好みに合ったタイヤ選びができるようになります。これからバイクを選ぶ人には、バイク選びにも役立ちますよ。
結論は、[タイヤはバイクで一番効果が高いカスタムパーツ]だということです。
上手くカスタムするためにはタイヤをよく知らなくてはいけません。
タイヤを交換するだけで今のあなたのバイクが理想のバイクになる可能性だってあります。理想のバイクに出会いたい人はぜひ最後まで読んでください。
おすすめ記事
タイヤの基本知識を解説[表記の読み方・構造]
バイクは決まった1種類のタイヤしか履けないと思っていませんか?
タイヤのサイズが同じなら、ほかの銘柄のタイヤを履くことが出来ます。
タイヤのサイズはタイヤのサイドウォールに記載してあります。ますはタイヤに書いてある表記の読み方から解説します。
タイヤに書いてある表記の読み方
上記の画像を参考にしてください。
多くのタイヤの場合は「メトリック表示」です。一部のアメリカンとオフロードタイヤでは「インチ表示」が使われている場合が多いです。
上記画像で使われている用語の解説をしておきます。
■タイヤ幅
・タイヤの横幅
■扁平率
・タイヤの幅に対する高さの割合
(例:タイヤの幅100mmでタイヤの高さ100mmの場合は扁平率100%)
■構造表記
・「R」はラジアルタイヤ
・「ZR」は最高速度270km以上を許容するラジアルタイヤ
・「ー」はバイアスタイヤ
■リム幅
・タイヤの内径
・ホイールのリム径とも言える
■モーターサイクル用表示
・バイク用タイヤの場合は表示
(自動車用タイヤとの区別のため)
■加重指数(ロードインデックス)
引用元
・上記の表のようにタイヤが支えられる最大荷重を数字で表記
■速度記号(スピードシンボル)
引用元
・上記の表のようにタイヤが許容できる最高速度を記号で表記
構造の違い[バイアスとラジアルやチューブの有無]
サイズが同じで違う銘柄のタイヤはいったい何が違うのでしょうか。
答えは「中身が違う」です。
タイヤの中にはゴム以外にビートやワイヤーなど骨格の役割をしている素材が編み込まれています。
それらの設計の違いや内側にチューブが入っているかによってタイヤの呼び方が変わってきます。
ここからはタイヤの構造の違いについて解説していきます。
ラジアルとバイアスの違い
引用元
▲上記画像ではラジアルタイヤとバイアスタイヤの違いはわかりません。
サイドウォールの表記を読まないとラジアルとバイアスの違いはほぼ分からないということです。
では中身はどう違うのでしょうか。
引用元
▲タイヤの内側のベルトやビートの向きが違うことがわかりますね。
タイヤの特性の違いをざっくり説明すると、
・高性能なのがラジアルタイヤ
・リーズナブルなのがバイアスタイヤ
となります。
昔はバイアスタイヤしかなかったのです。技術の進歩で高性能なラジアルタイヤが一般的になりました。
チューブタイヤとチューブレス
■ タイヤの内側にタイヤとは別にゴムチューブが入っているのが「チューブタイヤ」
■ タイヤだけががホイールについているのが「チューブレスタイヤ」
自転車のタイヤは「チューブタイヤ」です。バイクのタイヤは原付含め多くが「チューブレスタイヤ」。
理由は「チューブレスタイヤ」の方が高性能だからです。
バイクではオフロードバイクなどに「チューブタイヤ」が採用されています。
タイヤの見た目や特徴の違い=ハンドリングの違い
タイヤは全部ただの丸い輪っかですが、サイズ、溝のパターン、太さなど多くの違いがあります。
そしてタイヤの特徴の違いは、そのままハンドリングの違いでもあります。
ここからはタイヤの特徴の違いと、それによって乗り味がどう変わるかを解説していきます。
5つのタイヤの特徴の違いで乗り味の変化を解説
下記の5つの特徴ごとに、ハンドリングなど乗り味にどのような違いがあるかを解説します。
②タイヤの溝の面積が多い少ない
③タイヤの太さが太い細い
④タイヤの直径が大きい小さい
⑤タイヤのグリップ力が高い低い①と②~⑤の2つに分けて、それぞれを一覧表で解説します。
キャラクターの違いを一覧表で解説
①キャラクターの違い(スポーツ走行向きやツーリング向きなど)
タイヤ画 | キャラクター | 使用用途 | メリット | デメリット |
スリックタイヤ
(公道使用不可) |
ロードレース専用 | ・高いグリップ力 | ・消耗が早い
・使いこなすのが難しい ・温まらないと性能を発揮しない ・雨天時は全く性能を発揮しない |
|
モトクロスタイヤ
(公道使用不可) |
モトクロスレース専用 | ・不整地での高いグリップ力 | ・消耗が早い
・土の状況(ドロドロ、サラサラなど)によって銘柄を変えないといけない |
|
スポーツ走行向け | サーキットスポーツ走行メイン
公道走行もこなせる |
・高いグリップ力 | ・消耗が早い
・温まらないと性能をすべて発揮できない ・雨天時はツーリングタイヤに負ける |
|
ツーリング向け | 公道走行メイン | ・気温や天気に左右されない
・安定したグリップ力 |
・とびぬけて得意な性能がない | |
オンオフ全部カバー
(オフ車用タイヤ) |
公道からオフロードまでカバー | ・全ての路面に対応 | ・オンもオフもそこそこな性能 | |
オンオフ全部カバー
(マルチパーパス用タイヤ) |
公道メイン
オフロードもこなせる |
・全ての路面に対応 | ・オフの性能は何とかできるレベル |
特徴の違いは乗り味にどんな影響があるか一覧表で解説
②タイヤの溝の面積が多い少ない
③タイヤの太さが太い細い
④タイヤの直径が大きい小さい
⑤タイヤのグリップ力が高い低い
②~⑤までまとめて一覧表で解説します。
②タイヤの溝の面積 | ||
特徴 | 溝が多いと
〇雨に強い 〇路面の凹凸を吸収しやすい ✖グリップが低い |
溝が少ないと
〇グリップが高い ✖雨に弱い |
③タイヤの太さ | ||
特徴 | タイヤが太いと
〇深いバンク角に対応できる 〇強いエンジンパワーにも対応できる ✖ハンドリングが重くなる ✖燃費が悪くなる |
タイヤが細いと
〇ハンドリングが軽快になる 〇燃費が良くなる ✖グリップ力が下がる |
④タイヤの直径 | ||
特徴 | 直径が長いと
〇悪路に強くなる 〇ハンドリングがマイルドになる ✖旋回力が落ちる |
直径が短いと
〇ハンドリングがクイックになる ✖タイヤを太くしないとバランス取れない |
グリップ力 | ||
特徴 | グリップ力が高いと
〇旋回力が上がる ✖消耗が早くなる ✖ハンドリングが重くなる |
グリップが低いと
〇ハンドリングが軽くなる 〇タイヤの消耗が少ない ✖旋回力ダウン |
各ジャンルの純正タイヤの特性=そのジャンルの特性
ここからは純正タイヤの解説をします。
バイクにはジャンルがあり、それぞれ違ったタイプのタイヤが純正で採用されています。
ココでのポイントは、
バイクのジャンル=タイヤのジャンル
だということです。
下記の一覧表を見てもらえば「バイクのジャンル=タイヤのジャンル」だということがわかってもらえると思います。
言い換えれば、
バイクを選ぶこと=履けるタイヤを選ぶこと
とも言えますね。
バイクジャンル | 代表バイク | バイク画像 | 純正タイヤ画像 | 純正タイヤ 銘柄 |
タイヤサイズ | タイヤの特徴 |
スーパースポーツ | CBR1000RR SP | ブリジストン RS10 |
前 120/70ZR17M/C(58W) 後 190/50ZR17M/C(73W) |
・大型スーパースポーツの定番タイヤサイズ ・超高性能ラジアルタイヤ ・スポーツ走行がメイン |
||
ストリートスポーツ | CB400SF | ダンロップ D204 |
前 120/60ZR17M/C(55W) 後 160/60ZR17M/C(69W) |
・ミドルスポーツの定番サイズ
・オールマイティなラジアルタイヤ ・全天候対応型で幅広い用途に対応 |
||
オフロード | セロー250 | ブリジストン TW301 | 前 2.75-21 45P 後 120/80-18M/C 62P |
・フルサイズオフロードバイクの定番サイズ
・オンロードのカバーするブロックタイヤ ・リアタイヤだけチューブレスタイヤでパンクに対応 |
||
ストリート | GB350 | ダンロップ アローマックスGT601 |
前 100/90-19M/C (57H) 後 130/70-18M/C (63H) |
・ストリート向きバイアスタイヤ
・乗り心地とスタイリングを両立したサイズ |
||
アドベンチャー | R1200GS | ミシュラン アナーキー3 |
前 120/70R19M/C(60V) 後 170/60R17M/C(72V) |
・アドベンチャー用ラジアルタイヤ
・オフロードを考慮してフロントは19インチで リアは排気量のわりに少し細め |
タイヤを知ればもっと自分に合うバイクとタイヤを選べる!
ここまででかなりタイヤの違いが分かってきたと思います。タイヤを選んでいるのかバイクを選んでいるのかわからなくなってきませんか?
バイクに合うタイヤが付いているのか
タイヤに合うようにバイクが設計されているのか
鶏が先か、卵が先かという話に似ていますね。
タイヤを選ぶことはバイクのジャンルを選ぶよりも重要です。つまりタイヤを知れば、バイク選びでの失敗は防げるようになります。
ここからはこの記事で知ったタイヤの知識をどう使うかとどんなことに役立つかを解説してきます。
純正タイヤでそのバイクのキャラクターがわかる
純正タイヤでバイクの特性を知れば、タイヤ交換をしてバイクをさらに自分の好みに寄せることが可能です。まさにカスタムですね。
似たようなバイクに乗り換えるより、タイヤを違う銘柄に変える方が変化が大きい場合だってあります。
タイヤの選びのロードマップ
ここからは実際にタイヤを選ぶときの具体的な方法を解説します。
まずは純正タイヤを味わい尽くす
一番最初にバイクに乗り始める時は純正タイヤがおすすめです。理由はそのバイクに一番適しているタイヤが純正タイヤだからです。
純正タイヤがすり減って交換時期になったころ、普通の人はほかの銘柄を試したくなって別のタイヤをつけてしまいます。
そこで出来ればもう一度純正タイヤを履きなおして、新品の状態を味わう。そのうえでタイヤ交換でバイクの味付けを変えるという順番が一押しです。
一度純正タイヤを使いきってから、新品の純正タイヤを履くと一番良い状態の純正タイヤの性能を味わえます。すり減った純正タイヤから新品の純正タイヤに交換したときに、本当の良さがわかるのです。
サイズ設定が多い定番のタイヤサイズを選ぶ
バイクによってはマニアックなサイズのタイヤが設定されていうことがあります。
例えば、ヤマハのトリッカーやスズキDRZ400SMなどマイナーなコンセプトのバイクです。
魅力的なバイクなのですが、履けるタイヤの種類が少ないのでタイヤ交換でバイクを楽しむことには向いていません。
逆にライバル車が多くのメーカーから発売されているような激戦ジャンルのバイクは同じタイヤサイズが採用されています。例えば600ccスーパースポーツはメーカーが違ってもみんな同じタイヤサイズです。
このようなタイヤが採用されているバイクを選べば、タイヤ交換の選択肢が多いのでタイヤの違いを楽しむにはうってつけの車種ということになります。
定番のサイズの例
フロントタイヤ
120/70ZR17
リアタイヤ
160/70ZR17
180/55ZR17
190/55ZR17
履けるタイヤの中で一番安いのと高いのを比べたら?
筆者がホーネット250に乗っていた頃、タイヤを色々試しまくっていた時期があります。当時サーキットに通い詰めていて、給料は走行費とタイヤにつぎ込んでいました。
公道走行可能だがサーキット走行に特化したタイヤを履いた時の話です。
結果はタイヤのグリップが高すぎで逆にバランスが崩れました。曲がりにくくなったり走れなくなるのではありません。「車体がタイヤのグリップ力に負ける」というのがわかりやすいでしょうか。
フルバンクの時にそれは起こりました。
タイヤにはまだ余裕があるのに車体やタイヤを支えられなくでタイヤが跳ねてしまうのです。もちろん速くは走れません。「ただグリップ力が高ければいいんじゃないんだな」と感じました。
逆に安いタイヤを履くと、純正よりも安心感が減るので思いっきり走れなくなります。純正タイヤよりもグレードを下げるのはおすすめできませんね。
純正タイヤ含めて1~2段階性能が高いタイヤまででチョイスするのが一押しです。
後はメーカーを変えればかなり乗り味が変わるので試してみてください。
タイヤもバイク本体と一緒で何かを取れば何かを失う
タイヤは耐久性を取れば、ピンポイント性能がなくなり、オールマイティ性を重視すれば、個性が薄まる。
まるでバイク本体を選ぶときと同じですね。
オフ車が悪路が得意でも高速道路は苦手。
マルチパーパスはどこでも走れるけど「これだけは得意」というポイントはありません。分かりやすい高性能はなくても「オールマイティー」というのも立派な性能なのです。タイヤもそれと同じです。
バイクに何を求めるかを自分と良く相談すると良いタイヤ選びができるようになります。
まとめ タイヤはバイクで一番効果の高いカスタムパーツ
バイクを乗り換えなくても、タイヤを変えるだけでハンドリングに変化があります。
まるでバイクを乗り換えたかのように。
ですがタイヤの銘柄を適当に選んで変化を楽しむのも悪くありませんが、どうせ交換するならポイントを抑えたタイヤ交換をしたいものです。くじ引き感覚では自分の好みのタイヤに当たるかどうか運任せですから。
今回の記事が、あなたの次のタイヤ選びに役立ってくれるとうれしいです。
最後まで読んで頂いてありがとうございました。
ほかの記事もぜひ読んでいってくださいね。