とりあえずわからないままでもメンテナンスを始めることはできます。
例えばバッテリーを交換したければ、「バッテリー交換 方法」など調べれば具体的なやり方を簡単に調べられる時代ですから。
でも、「もっと他のやり方がある」ことや「こんなやりからならもっと簡単に」など、経験豊富な整備士は多くの選択肢を知っています。
メンテナンスがもっと上手になる為には、まず「バイクについているねじの種類」「バイク整備で使う工具の種類と使い方」を知らないといけません。
ですが内容が膨大な量になるので全体を6回に分けて解説します。
■第一回 結合部品[ネジ](ナット、ボルト、ビスなど)工具(レンチ、スパナ、ドライバーなど)にはどんなものがあるか。
↓[今回はここ]
■第二回 オープンスパナ、モンキーレンチ メガネレンチ、ヘキサゴンレンチの使い方
■第三回 ラチェットレンチ、ボックスレンチ(ヘキサゴン、の使い方
■第四回 ドライバー(+-もボックス付けられるビットドライバーも))
■第五回 プライヤー、ブレーキキャリパーピストンプライヤーの使い方
■第六回 測定器類、エアゲージ、ノギス、定規、巻き尺(コンベックス)トルクレンチの使い方
なので今回の記事は
前半で
バイクで使うスパナ、レンチの使い方を解説[サイズ、向き、コツも完全網羅]
後半では
ヘキサゴンレンチ(L字型棒レンチ)の種類や使い方を解説
このような内容となります。
どうぞ最後まで読んでみてくださいね。
まだこの回より前を読んでいない方は是非第一回から読んでください。
おすすめ記事
バイクで使うスパナ、レンチの使い方を解説[サイズ、向き、コツも完全網羅]
始めにスパナやレンチについて簡単に解説
まず、スパナとレンチは同じような意味だと思ってください。
形によってスパナって言ったりレンチって言ったりしますが似たようなものです。
そしてスパナやレンチにはいろいろな形があります。
なかには「モンキーレンチ」という幅が変えられるレンチがあります。
「じゃあこれ一種類あれば全部カバーできるんじゃないの?」
って思うかもしれません。
結論を先に言うと「全部のカバーは出来ません」
でも出来ないというのは正直に言うと正確ではありません。
出来ないことはないですが実際やってみるととってもやりにくいのです。実際に長期間そのまま使うとまず間違いなくネジやボルトを傷めたり壊したりするトラブルにつながります。
整備の初心者ならなおさらトラブルになるでしょう。
形が違うということは何かしら機能が違いますよね。
それを知ることが整備の一歩です。
せっかくメンテナンスを自分で始めようとしているのにすぐにトラブルが起きて
「やっぱり自分でやるんじゃなかった」
「バイク屋さんに頼もう」
って事になったらメンテナンスの楽しみを知る前に整備やめてしまうことでしょう。
メンテナンスや整備って本当に楽しいんですよ。よしのパパはバイクに乗ることと同じくらい楽しいと思っています。
少し大げさに言えば、「雨の日にバイクに乗ればバイクが汚れてまた整備ができる!」ってくらい楽しいのです。
気を取り直してまずは「レンチやスパナの種類はどんなものがあるか」から解説します。
画像で見るのがわかりやすいので一般的な形を紹介します。
オープンスパナ
メガネレンチ
ラチェット付きメガネレンチ
先端がオフセットしているめがねレンチ
モンキーレンチ
今回は5種類のレンチを解説します。これ以外のものは特殊なので通常はこの5つ以外はあまり使わないでしょう。
これから5種類のレンチをひとつずつ詳しく解説しますね。
解説の内容は
- このレンチの特徴
- よく使うサイズ
- 具体的な使い方
- メリットデメリット
このように解説していきます。
バイクの整備でよく使うレンチのサイズ
ちなみに「よく使うサイズ」とは以下の事です。
バイクの整備で使うレンチのサイズは6.8.10.12.14.17.19.21.22.24.27(サイズはmm)がよく使うサイズです。
バイクの排気量によって多少は前後しますけどね。
使うサイズにも特徴があります。
例えば、オープンスパナでは27mmなど大きいサイズを使うことはほとんどありません。
逆にメガネレンチはすべてのサイズで使います。
この記事を読み終わればこの意味が分かるようになると思いますよ。
では個別のレンチごとの解説を始めます。
早速始めましょう!
オープンスパナ(よく使うサイズ8,10,12,14,17mm)
このレンチの特徴
スパナといえばこの形ですね。
最初にイメージする工具でしょう。
六角のボルトを回す工具で2面でボルトを支持するので強い力で回す場面では不向き。
レンチの先端に特徴があります。
「コの字の部分はまっすぐではなくて少し斜めに傾いています」
ボルトが外れにくいように「コの字の部分」の短いように回して使います。
実際やってみるとわかりますがこの向きのほうがボルトとスパナがしっかりくっついている感じがしますよ。
力も入りやすいし、ナットからスパナが外れにくくなります。
結果ネジをなめにくいというわけ。
この後紹介するメガネレンチを違い「上から」では無く「横から」ボルトにアプローチ出来るので(狭いところのネジ)などにオープンスパナじゃないと回せないネジがあるので、バイクによっては必須な工具です。
ホースの根本を止めているねじなどはオープンスパナじゃないとできない代表ですね。
具体的な使い方や使い所
オープンスパナは先端がまっすぐではなく、少し斜めになっていて回す向きが決まっています。
スパナ先端の「コの字」の短い方向に回してください。
もちろん逆に使ったからってすぐにネジをなめるわけでなないですよ。逆向きでも一応使えます。正しい向きのほうがしっかりネジを支持できるって意味です。
↑この画像はdiylaboさんの画像です。
自分で絵を作るより遥かにわかりやすいので紹介させていただきました。
オープンスパナはボルトの2面しか支持していないのでボルトをなめやすい工具です。
ネジの痛みを考えるなら出来るだけ使いたくない工具です。
使い所は
■周辺のパーツの関係でメガネレンチやラチェットレンチが使えない奥まった部分
■出先で車載工具しかないときなど
オープンスパナはたとえ正しい使い方としたとしてもネジをなめやすいので出来るだけ使わないで済ませるようにしてください。
でも、どうしてもオープンスパナじゃないと回せないネジがあるものなので自分のバイクで必要なサイズのものだけ用意しておけば十分でしょう。
整備がうまくなればなるほど使わなくなっていく工具です。
メリットデメリット
メリット
■どうしても使わないといけないところだけに使う工具
デメリット
■使う向きがあるのでめんどくさい。
メガネレンチ(よく使うサイズ6~27mm)
このレンチの特徴
先端が輪っかになったレンチで6面すべてでボルトを支持する。
ボルトなどを回すときは基本的にはこのメガネレンチを使う。
メガネレンチを使えないときにだけ他のレンチを使うようにします。
(ソケットレンチをそろえている人はソケットでも構いません。
その際の注意点はトルク管理なので、ソケットの記事を参考にしてください)
メガネレンチの輪っかの内側は6角のものと12角のものがあります。
そのふたつの違いは
- 6角の方は支持面積が大きいけど、回すときの使い勝手が悪い
- 12角の方は支持面積が減るけど回しやすい。
- 主流は12角で6角のメガネレンチはほぼ見かけません。
よほどの安物工具でなければ12角のものがおすすめ。
「回しやすくするために先端の回す部分に少しだけ角度が付いているもの」が多い。
つまり表と裏があるということです。
使ってみて違和感がなければ、表裏を気にしなくても大丈夫。
このあと紹介しますが、先端の「メガネ」の部分にラチェット機能が付いたもの
極端なオフセットがあって奥まった部分を回せるメガネレンチなどがあります。
ですが正直使い道がありません。
オープンスパナとメガネレンチを同時に使う場面がほぼ無いからです。
今日の記事を全部理解してもらえばその意味が分かると思います。
具体的な使い方や使い所
ボルト、ナットを回すときはメインで使います。
メガネレンチが使えないところだけオープンスパナがモンキーレンチを使います。
オープンスパナも同じですがメガネレンチもナットの大きさによってレンチの長さが違います。
それは「てこの原理」で小さいナットは小さい力で締める。
大きいナットは大きい力で締める。
メガネレンチとソケットレンチはどちらも強い力でネジを締めるのに向いています。
ですがソケットレンチはソケットを付け変えるので「柄の長さ」がソケットのサイズによって変化しません。
メガネレンチはネジのサイズによってレンチの柄の長さが変化します。
これが、メガネレンチが一番ねじを締めるのに向いている理由です。
よしのパパのおすすめは
工具をバイクの近くにおける人(ガレージ持ちなど)はメガネレンチメイン
工具をバイクの近くの置けない人(マンション住まいなど)ソケットメインで
工具をそろえるのがおすすめ。
工具解説記事でトルクレンチも解説する予定なのでそちらを読んでみてくださいね。
メリットデメリット
メリット
■強い力に適している。
■レンチがネジから外れにくい。
デメリット
ラチェット付きメガネレンチ(よく使うサイズ8,10,12,14mm)
このレンチの特徴
メガネレンチにラチェット機能が付いたもの。
名前そのままですね
かなり便利だが、回る部分に少し厚みが増えてしまうことと、回る部分が別のパーツになるので高トルクに向かないことがデメリット。
小さめのサイズならかなり使えるので作業性が向上します。
■8-10mm
■10-12mm
■12-14mm
この三つのサイズはかなりおすすめ。
具体的な使い方や使い所
8mmから14mmくらいのナットに使用。
基本的な使い方はメガネレンチを同じです。
普段の整備で大活躍するでしょう。
メリットデメリット
メリット
■比較的軽くて小さいサイズなので車載工具に入れられる
デメリット
■メガネレンチの厚みが増す
■大きなナットには使えない
オフセットメガネレンチ(よく使うサイズmm)
このレンチの特徴
画像の通り、先端が大きく曲がったメガネレンチ。
奥まった部分や、へこんだ部分に使えます。
でも自動車用の工具といってもいいかも。
バイクではあんまり使いません。
具体的な使い方や使い所
奥まった部分や、へこんだ部分に使える。
ソケットレンチとメガネレンチの中間のような形なので使い方のコツもその中間。
普通のメガネレンチよりもナットに工具を斜めに当てやすい。
先端とナットを垂直に押さえつけながら回すことを意識する。
メリットデメリット
メリット
デメリット
■オフセットの量が少ないと使える状況も少なくなるのでバイクに使う工具としては微妙。
■よしのパパはオフセットメガネレンチを使うなら、ソケットレンチとエクステンションで長さを延ばすのがおすすめ。
■多くの状況に対応できる工具ではないので、持っているメリットが少ない。
モンキーレンチ(よく使うサイズ無段階mm)
このレンチの特徴
レンチの幅を無段階に変えられるレンチ。
横についているスクリューを回すと無段階に幅が変わるので、回すときにスクリューも一緒に締まる方向に回すとネジをなめにくい。
2面でナットを支持するのでネジのなめやすさはオープンスパナを似たようなもの。
オープンスパナと同じく、メガネレンチが使えない部分に補助的に使うのが良い。
とはいっても、なんだかんだで使うことがあるのでサイズを2つ(大小)もっていると何かと便利ですよ。
具体的な使い方や使い所
メガネレンチが使えない部分でオープンスパナで持っていないサイズのネジを外すときに使う。
よしのパパ的にはオープンスパナよりもネジをなめやすいと思っているので使用する重要度は一番低い。
どうしても、モンキーレンチでないといけない部分にのみ使うイメージ。
ダブルナットをするときなど、補助的に同じサイズのレンチが2本必要な時など急遽使うことがある。
メリットデメリット
メリット
デメリット
■ナット2面で支持する工具なのでネジをなめやすい。
■ネジを回すときにモンキーレンチの横のスクリューを締めながらというひと手間追加が必要。
ヘキサゴンレンチ(L字型棒レンチ)の種類や使い方を解説
ヘキサゴンレンチの特徴(よく使うサイズmm)
Lの字の棒レンチです。
先端が六角のものと、ボールポイントになっているものがあります。
↓この先端の形の事です。
ボールポイントになっているものは多少斜めになっても回しやすいので基本的にはこちらが使いやすいのですが、ネジの痛みが多少ですが増えてしまいます。
あなたが持っているバイクに合わせてどちらにするかを決めてください。
よしのパパはボールポイントになっているものがおすすめします。
ネジを傷めますが、同じネジをかなり使い込んでもなめる所まではいかなかったので普段使いには十分です。
具体的な使い方
レンチがL字型なので、どうしても斜めに回してしまいがち。
注意点は
■レンチを垂直に当てること、
■回すときも斜めにならないこと
この2点をを意識して回す。
実際に使うときの手順は
- まず締まっているネジを緩めるときはL字型の短い方をネジに差し込んで長いほうを手に持って回す。
- ある程度緩んだら長いほうにさしなおして指でつまんでくるくる回すのが早い。
締めるときはその逆。
よしのパパはL字型なのが好きではないのでソケットの六角棒レンチをメインで使っています。
L字型のレンチは車載工具でのみ使用してます。
メリットデメリット
メリット
■軽量でかさばらない
■セット売りで良いメーカーのものでも安い。
デメリット
■ネジを斜めに回してしまいがち。
■ソケットやビットの物と比べると使いにくい。
まとめ
今回の記事は
こんな内容でした
今回はレンチ、スパナ、L字型レンチの使い方の話でした。
次回は第三回 ラチェットレンチ、ボックスレンチ(ヘキサゴン、の使い方の予定です。
以下は全体の予定です。
第二回 オープンスパナ、モンキーレンチ メガネレンチ、ヘキサゴンレンチの使い方
第三回 ラチェットレンチ、ボックスレンチ(ヘキサゴン、の使い方
第四回 ドライバー(+-もボックス付けられるビットドライバーも))
第五回 プライヤー、ブレーキキャリパーピストンプライヤーの使い方
第六回 測定器類、エアゲージ、ノギス、定規、巻き尺(コンベックス)トルクレンチの使い方
最後まで読むと工具が欲しくなるような記事を書いていきます。
お時間あるときに読んでみてくださいね。
最後まで読んで頂いてありがとうございました。
ほかの記事もぜひ読んでいってくださいね。